夏休み――退屈な授業ばかりの学校から解放され、みんな浮かれて海や山へと遊びに出かける中……
真一はひとり退屈そうな顔をしていた。
父親の再婚話が進んでいたり、昔ちょっと気まずい思いをした兄や幼なじみが同居することになっても、それはささいなこと。
一瞬彼の心に細波を立てたとしても、すぐに忘れる――忘れたふりができる程度のもの。
そう考えていた。
だけどこの夏、彼はお節介な友人たちと喫茶店で他愛もない時間を過ごし……
これまでよりほんの一歩踏み込んだ付き合いをした結果、忘れていた『何か』を取り戻していく。
止まっていた時計の針が動き出すような感覚、ずっとつぼみのまま開かなかった花が咲くような瞬間が訪れる。











